京都の桜の名所のひとつ、背割堤(せわりてい)。京都の桜の名所には神社仏閣が多いが、ここは違う。川の堤防である。堤防上に桜並木の遊歩道が約1.5km続く。近年、高所から全体を見渡せる展望タワーが作られて、桜の時期の人出はすごい。私が行った時は4月の末。すっかり葉桜となった今では、人もほとんどいない。新緑の中、静かですがすがしい散歩道だ。

背割堤は、木津川と宇治川を仕切る堤防として、1917に建設された。堤防の先で両川は合流。そのまたすぐ先で桂川も合流する。「三川合流」と呼ばれる地である。

北に天下分け目の山崎の戦いの天王山、南には石清水八幡宮が鎮座する男山があって、その間の関門のようになった狭い低い部分に三川が集まってくる。三川はこの地で合流した後は、淀川となって大阪湾へと大阪平野を流れ下って行く。

桜の展望タワーから北、東、南を望めば、京都盆地全体が見渡せるが、少なくとも見える範囲全ての水がここに集まる。そして、実際の集水域は見渡せる範囲より遥かに広い。

木津川は、奈良県北東部の宇陀高原と忍者で有名な三重県伊賀盆地の水を集めて流れ出し、京都府南部を北上して、ここに至る。
宇治川は琵琶湖から流れて来る。滋賀県全域の水は一旦、琵琶湖に流れ込んだ後、湖最南端の瀬田から川となって流れ出す。途中、平等院とお茶で名高い宇治を通過するあたりから宇治川と呼ばれ、ここに至る。
桂川は、京都の北の丹波山地に端を発し、風光明媚な嵐山・渡月橋の下を通過。京都市街を流れて来た鴨川の水も集めて、ここに至る。
遥かかなたの集水域のことまで想いをめぐらせていると、壮大な気分になってくる。桜シーズン以外にも是非訪れてみてもらいたい。
