地理学徒の語り

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京都・北野界隈の桜

 京都市街北西部の北野地区。都の北に広がる野原だったことが、地名の由来とされる。西陣織で有名な西陣地区の西に隣接する。西陣の外縁部とも言え、西陣同様、狭い路地を歩けば、家内工業の機織り機の音が聞こえる。北野商店街や北野と西陣の間にある千本通りは、職住近接の機織りの街・西陣の需要を充たす繁華街だった所で、往時は、映画館も並んで、四条河原町界隈に匹敵する賑わいがあった。北野で今も続く花街・上七軒も、西陣や室町の織物問屋の旦那衆の遊興、社交の場だった。

北野商店街
北野天満宮の参道でもある。

花街・上七軒
京都最古の花街

 4月の第一週、そんな北野界隈のいくつかの社寺を巡って、ちょうど見頃の桜を愛でてきた。まずは北野商店街の南にある立本寺(りゅうほんじ)。日蓮宗の寺。普段、観光客で溢れるような著名な寺ではなく、桜の時期でも訪れる人は多くない。静けさの中、本堂前に咲き誇る桜の木々を眺めることができる。

以上、立本寺

 次は、北野商店街の北側、花街・上七軒のすぐ側、千本釈迦堂。13世紀の創建時以来の本堂は京都で最古の建築とのことで国宝になっている。その本堂前で大きな枝垂れ桜が見事に花を咲かせている。

以上、千本釈迦堂

 続いては、千本釈迦堂から上七軒を挟んだ西側、北野天満宮。全国に数ある天満宮の代表格的存在で、北野の社寺では群を抜いた有名どころ。学問の神様として受験生に崇められる他、毎月25日の縁日には露店が並び、「天神さん」として親しまれている。花では梅の名所で、シーズンには有料の梅苑がある。今年の梅の見頃は異常に遅かったが、4月ともなれば、さすがに梅の花は終わっていた。梅の名所だが桜がないわけではない。古風な社殿に桜が映える。

以上、北野天満宮

 そして、天満宮からさらに西に行った先の平野神社。桜が代名詞の神社で、今の時期、それほど広くない境内は、まさに桜で溢れかえっていると形容できるが、その分、人も溢れている。有料の桜苑は菜の花と桜のコラボが(人とのコラボも)楽しめる。桜シーズンの人出は、この界隈ではもちろん、京都の社寺でもトップクラスである。

以上、平野神社

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