地理学徒の語り

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北陸新幹線 敦賀以西延伸ルートについて

 2月に京都市長選があった。北陸新幹線延伸の京都駅通過ルートの是非が争点のひとつであった。京都駅通過ルートは、福井県敦賀まで開業する北陸新幹線を新大阪まで延伸するいくつかのルート案のうち、事業主体のJR西日本が採択したルートである。敦賀から小浜を経由して京都駅を通過、新大阪に至るものだ。京都府内に新たに新幹線が建設される。京都駅通過ルート反対論の最大の理由が多額の建設費の地元負担だ。そして反対論者は米原ルートがよいと主張する。

 私も米原ルートに賛成である。米原ルートとは、敦賀からすぐに滋賀県に入り、琵琶湖の北東岸を通過して米原に至る新線を建設、東海道新幹線に接続するというものだ。米原からは東海道新幹線に乗り入れて、新大阪に向かうことになろう。京都府内に新線は建設されないから費用負担がないのに、実質的には京都駅通過になる。京都にとって、とても都合のよいルートである。

 このような京都の観点からだけでなく、もっと広域的に見て、米原ルートが交通経済学的に理にかなっていると私は思う。まず、新線の建設距離が短いから費用が少なくてすむ。完成も早くなるだろう。

 そして、米原接続なら、新大阪方面だけでなく、名古屋方面への連絡も考えられる。北陸と中京圏との交通が向上する。また、福井や敦賀からは、このルートの方が、北陸回りよりも東京までの所要時間が短いんじゃないか。

 米原ルートの場合、東海道新幹線への乗り入れが困難だということが指摘される。東海道新幹線の運行本数が現状満杯に近く、北陸新幹線の列車が乗り入れる余裕がないという主張だ。

 ならば、開業当初は米原で乗り換えでもしかたない。やがて中央リニア新幹線が大阪まで開通すれば、東海道新幹線には随分と余裕が生まれるはずである。その時、新大阪や名古屋に乗り入れればよい。東京から東海道回りで福井、金沢行き新幹線もありかもしれない。

 米原ルートがいいことずくめのような気がするけどなあ。まあ、経済合理性よりも政治上の諸事情への忖度が優先するのが、鉄道建設の常であります。