地理学徒の語り

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舞鶴若狭自動車道 - その名称について


 舞鶴若狭自動車道。上図(橙色の線)のように近畿北部を走る高速道路である。神戸の北、中国自動車道の吉川ジャンクション(JC)を起点に、丹波篠山、福知山、舞鶴など兵庫県京都府丹波、丹後地方の諸都市を通過、原発銀座の福井県若狭地方を貫いて、敦賀JCで北陸自動車道に接続している。これら沿線地域と阪神地域を結ぶ意味あいの高速道路であることに加えて、中国自動車道北陸自動車道京阪神地域を通過せずに連絡するバイパスルートとしても機能している。

 この高速道路が計画された当初の目的地は舞鶴だった(予定線時代の道路名は近畿自動車道舞鶴線。)。阪神地域から近畿北部の最大都市で重要港湾のある舞鶴への連絡道である。1987年の最初の部分開通を経て、1991年に中国自動車道吉川JCから舞鶴西インターチェンジ(IC)までつながった。当時の名称は「舞鶴自動車道」だった。道路の終点の都市名をその道路の名称にする。他の高速道路でもみられる普通のネーミングだ。

 その後、さらに若狭地方を通過して敦賀まで連結することを目指して東に順次延伸することとなった。2003年に小浜西ICまで延伸開通。高速道路が若狭地方に到達したのを契機に、「舞鶴若狭自動車道」に改称された。(敦賀JCまでの全線開通は2014年。)名称に「若狭」を入れることに、若狭地方の強い要望があったことは容易に推測できる。

 この名称に私は何ともしっくりいかない。「舞鶴」はひとつの都市名で、「若狭」は沿線地域の一部分の地域名である。点と面だ。最初の名称に一地域の地域名を単純に追加しただけだから、アンバランスな名称になってしまったのだ。

 より良い名称の案をいくつか考えてみる。「若狭」を入れるなら、沿線地域のもう片方の地域名である「丹波」も入れるべきだ。「丹波若狭自動車道」。通過する複数の地域名を並記する。他の高速道路にもあるネーミング法だろう。

 しかし、これでは「丹波」にも「若狭」にも含まれない舞鶴が納得しないだろう(沿線地域では舞鶴だけが丹後、その南側は丹波で東側は若狭である。)。では、「丹波舞鶴若狭自動車道」。通過する地名を網羅して順番に並べてある。でも長過ぎる。総盛りにも程がある。

 もう最初の「舞鶴自動車道」のままでいいではないか。沿線の主要都市名を採用するネーミングは普通だ。でも、舞鶴が沿線最大都市といっても頭抜けて大きくはない。だから若狭など他の地域が黙っていない。

 ならば、「北近畿自動車道」はどうだろう。近畿北部を通過する道路だから「北近畿自動車道」。沿線地域の全部を包含できる地名を採用。それに「北近畿」は高速道路名として何となくかっこいい。これが最もふさわしいと私は思うが。沿線地域の住民の皆様、いかがでしょうか。