地理学徒の語り

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京都市営地下鉄 - 路線名と駅名

 京都市営地下鉄、最初の開業区間烏丸線の京都-北大路間である。1981年のことだった。路線名は、京都の南北方向のメインストリート、烏丸通りの地下を通るから、烏丸線京都市民の誰もが納得する普通のネーミングだ。

 駅名は、南の起点の「京都」駅はJR(当時は国鉄京都駅接続だから「京都」。その他の「北大路」までの各駅は、烏丸通りに直交する東西方向の大通りの通り名を採っている。

 京都では、「烏丸北大路」、「烏丸丸太町」、「烏丸五条」などと交差する縦横の通り名を並べて交差点が呼ばれる。碁盤の目状の市街で、京都市民はこれにより市街地内での位置を把握する。烏丸通りを行く烏丸線だから「烏丸」は省略して、「北大路」、「丸太町」、「五条」といった駅名で、その駅がどこにあるか、はっきりとわかるのである。烏丸線の路線名と駅名。京都市民の位置把握システムに合致した、とてもよいものとなっている。

 その後、烏丸線は南北方向にそれぞれ延伸した。「九条」と「十条」は上述のネーミング法を踏襲。路線が烏丸通りから外れた部分では、「松ヶ崎」「竹田」とか「国際会館」などと、地域名や付近の大型施設名によっている。ごく普通のネーミング法である。

 さて、2本目の路線として1997年に開業したのが東西線である。私は、東西線の路線名と駅名のネーミングには納得できない。

 まず、東西線という路線名。東西線は、中心市街地を通過する部分では、東西方向の大通り・御池通りの地下を走っている。だから、烏丸線と同じネーミング法で、「御池線」とすべきだったと私は思う。「烏丸線」と「御池線」なら、両線が接続するのが「烏丸御池」駅というのが、よりわかりやすくなる。(烏丸線の御池駅は、東西線との接続駅となって烏丸御池駅に改称された。)南北の路線は烏丸線で、東西の路線は東西線。こんないびつなネーミングは落ち着かない。

 そして各駅名。これも烏丸線の場合と同じく、御池通りと直交する南北方向の大通りの通り名とすべきだった。すなわち「京都市役所前」じゃなくて「河原町」、「二条城前」でなく「堀川」である。なぜか交差する両通りの名を冠する西大路御池駅は「西大路」だけで十分。太秦天神川駅は天神川御池の交差点にあるのだから「天神川」でよい。(東西線開業前の仮の駅名の段階では、こうした駅名だったと記憶する。)

 今さらわざわざ改称する程のことではないのは明白だ。観光客はじめ外来の人にとっては近隣の施設名の方がわかりやすいだろう。とは言え、烏丸線東西線の間のいびつな、一貫性のないネーミング法に私は違和感を持ち続けている。