地理学徒の語り

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大阪関西万博の外国パビリオン

 大阪関西万博のパビリオンには3つのタイプがある。タイプAは独立した一つの建物。各国がそれぞれの独自の建物デザインで個性を競っている。タイプBは、いわゆる長屋形式。横長の建物の壁で区切られた一区画に一国が入り、一つの建物をだいたい3~5か国が共有する。タイプCは、「COMONS」という広い展示場のような建物内に数十か国のブースが同居する形式。

タイプBの一例

COMONSの一つ「COMONS-D」。25か国が入る。

 当然、タイプAが一番コストがかかるから、小国には難しい。逆に大国ならタイプAがステイタスになる。各国パビリオンのタイプや位置関係について見てみると、国家間の関係を象徴するようであったり、国際社会の縮図であたったりするようにも見える。

オーストリア館とスイス館
アルプスの隣国同士はパビリオンも隣同士

北欧五か国は仲良く共同でパビリオンを出展

 いくつかに区分けされたゾーンのうち、エンパワリング(力付ける)ゾーンと呼ばれるゾーン。その名にふさわしく、パワーで世界を牽引する国々がパビリオンを構えている。超大国アメリカは当然のようにここ。そして、そのアメリカと対抗する中国もこのゾーン。二つの超大国の関係を表すかのように、ほぼ背中合わせに建っている。欧米陣営ながら、欧州の盟主を自負し、アメリカの軍門に下るのを良しとしないフランスは、アメリカの隣に張り合うように建つ。これら言うまでもなくタイプA。

アメリカ館

アメリカ館で展示の「月の石」
レンズ越しなので実際の大きさは不明だが、
極めて小さいと思われる。

中国館

中国館は「月の砂」
こちらも極少量。ほんのひとつまみ程度だろう。

フランス館

フランス館内・ディオールの展示

 欧州主要国ももちろんタイプA。英国、イタリア、ドイツ、スペイン。セービング(守る)ゾーンやコネクティング(繋ぐ)ゾーンにあって、国際社会でのこれらの国々の立ち位置を表すかのよう。貴重な芸術作品を持ち込んだイタリア館は万博一の人気。世界中から多くの観光客が訪れるイタリア本国と同じだ。バチカン市国はイタリア館内に出展しているらしい。実際の両国の地理的関係と同様になっている。

英国館

イタリア館

ドイツ館

スペイン館

 隣国・韓国、そしてシンガポール、マレーシア、タイ、インドネシアなど東南アジア主要国もタイプA。我が国との関係の深さと国の経済力からいっても、当然だ。フィリピン館がアメリカ館の隣に肩を並べているのは、意図があるのだろうか。旧宗主国と同格という虚栄心か、現代の同盟関係の象徴か。

韓国館

シンガポール館

マレーシア館

タイ館

インドネシア館

フィリピン館

 そして、一際存在感を示す国家群がアラブ産油国。アラブの大国・サウジアラビアがタイプAなのは当たり前だが、オマーン、アラブ首長国連邦、さらに極小のクウェート、カタール、バーレーンまで揃ってタイプA。これらの国々は、石油がもたらす富によって、国際社会でも存在感を高めているが、万博でも目立つ存在だ。(アラブ産油国については、こちらを御参照)

サウジアラビア館

オマーン館

アラブ首長国連邦館

クウェート館

カタール館

バーレーン館

 もう一つ存在感のあるグループが、アゼルバイジャン、トルクメニスタン、ウズベキスタンの中央アジア諸国。我が国ではあまり知られていない国々だと思うが、パビリオンはどれも奇抜な外観で存在感を示す。これらも、石油や天然ガスによって富裕になった国々だ。(トルクメニスタンについては、こちらを御参照)

アゼルバイジャン館

トルクメニスタン館

ウズベキスタン館

 アフリカ諸国で唯一のタイプAがアンゴラ。南アフリカでもエジプトでもない。何故かアンゴラ。我が国と関係希薄なアフリカの中でも、特に遠く関係が薄い大西洋岸のアンゴラのパビリオンが、英国館の隣で異彩を放っている。

アンゴラ館

 ボーランド、チェコ、ルーマニア、ハンガリー、ブルガリアの東欧諸国もタイプAで頑張っている。セルビアは次回万博(2027年ベオグラード万博)開催国の威信にかけてもタイプAというところだろう。

ポーランド館

チェコ館

ルーマニア館

ハンガリー館

ブルガリア館

セルビア館

 交戦中の国々はどうか。イスラエルとパレスチナはどちらもタイプCだが、当然の如く、別々のCOMONS館に入る。ウクライナはタイプC。55年前の大阪万博ではアメリカ館に対抗するかのような大きなソ連館を出展したロシアは参加していない。(1970年の大阪万博については、こちらを御参照)

COMONS-Cのイスラエル・ブース

COMONS-Dのパレスチナ・ブース

COMONS-Cのウクライナ・ブース

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