前回、東京ドーム界隈を巡った。今回は、東京のもうひとつのプロ野球本拠地球場である神宮球場とその周辺を歩いてみた。



神宮球場は、正式名称が明治神宮野球場であるように、宗教法人・明治神宮が所有する球場。プロ野球・ヤクルトスワローズの本拠地球場で、同球団初のリーグ優勝決定(1978年)、村上宗隆選手のプロ野球記録・シーズン56号ホームラン(2022年)もこの球場でのこと。今や、神宮球場といえばスワローズの感があるが、実は、1960年代まで、明治神宮はこの球場のプロ野球の使用を認めなかった。お堅い神社としては、興行性のものとは一線を画すというのが理由だったようだ。

クレーンは新秩父宮ラグビー場建設工事

神宮球場の開場は1926年。東京ドームの前身、後楽園球場よりも随分と早い。当時人気を博していた早慶戦、そして東京六大学野球の会場とするため、後述する明治神宮外苑の一施設として開設された。以来、学生野球の聖地と言われるまでになった。プロ野球に解放後も、この地位は変わらず、東京六大学野球の他、東都大学野球リーグ、全日本大学野球選手権、明治神宮野球大会、高校野球地方大会など、アマチュア野球の利用が盛んである。

神宮球場を含む明治神宮外苑は、明治天皇の記念公園として、当時の国家的事業で建設されたもの(そもそも明治神宮本体(内苑)が明治天皇を祭祀する官営神社として創建)。現在までたくさんのスポーツ・文化施設が設置されている総合公園。国立競技場は、同じ場所にあった明治神宮外苑競技場がルーツ。大平洋戦争中、出陣学徒の壮行式が行われた所だ。秩父宮ラグビー場は我が国ラグビーフットボールの聖地。(厳密には上記二つは現在は国立で明治神宮所有ではない。)他に、軟式野球グランド6面、バッティングドーム、テニスコート、室内球技場、ゴルフ練習場、アイススケートリンクなどなど、列挙しきれないほどの施設がある。かつては相撲場や水泳場もあった。



(秩父宮記念ギャラリーの展示から)






外苑にある様々な施設の中で、当初の外苑設立目的からいって最重要施設は、聖徳絵画記念館だろう。明治天皇の生涯の各場面を描いた絵画を展示する。外観はドーム屋根が印象的な左右対象の重厚な石造り。その正面に続く銀杏の並木は、外苑開園当初からのもので、外苑の代表的な景観となっている。現在、結婚式場として営業している明治記念館も明治天皇関連施設。明治憲法草案審議の天皇御前会議が行われた赤坂御苑の殿舎が移築されたものだ。



さて、神宮外苑は、だだっ広い陸軍青山練兵場の跡に造成されたものである。練兵場には明治天皇が閲兵に何度か訪れた。その際にその下に天皇の御座が置かれた榎が外苑の杜の中で記念物となっている。明治天皇崩御の際には練兵場で大喪礼が行われた。その葬場殿の跡地は絵画記念館の裏手。(なお、明治天皇の御陵は京都の桃山)


練兵場の隣接地には他にも陸軍施設が構えていた。西側、現在の都立明治公園、日本青年館、日本オリンピック委員会本部や國學院高校のある一帯には、近衛歩兵聯隊駐屯地。なお、日本青年館は、明治神宮及び外苑の建設に奉仕した全国の青年会の功績に報いて開設されたもの。東側にあった陸軍大学校の跡地には現在、区立青山中学校などが建つ。




